陥没乳頭とは常時乳頭がへこんでいる状態を言います。陥没している乳頭を引っ張り出して、外に出てくる場合は軽症で、どうしても出てこない場合は重症です。
陥没乳頭は、見た目の悪さを気にされる方が多いですが、健康面でも症状を起こす場合があります。まず、陥没している部分に垢がたまりやすく、溜まった垢が原因となって炎症が生じる可能性があります。更に、陥没の状態によっては出産後授乳ができなくなります。つまり、陥没乳頭はただのコンプレックスの問題として捉えるのではなく、病気であると認識をする必要があります。
陥没乳頭の症状は個人差が見られやすく、両側や片側、重症、軽症の組み合わせで治療方法も様々です。そのため、治療の計画については医師にご相談ください。
乳房の組織構造には、母乳を生成する乳腺と乳頭まで母乳を届ける数本の乳管があります。乳腺と乳管はお互いにホルモンの影響を受けながら増殖していき、密接な関係にあります。
乳房の成長(つまり乳腺の成長)に乳管の成長がついていけず、短いか、または癒着によって内部に引っ張られることで陥没乳頭は引き起こされます。
【装具による矯正】
自分で陥没した乳頭を手で引っ張り出して、しばらく乳頭が突出する人は矯正器具だけで治る可能性が高いです。3−6ヶ月程度矯正器具を装着することで常時乳頭が出るようにします
【形成手術】
局所麻酔をして乳頭の根元を1センチ程度切開します。皮下を剥離して乳管を露出し、できるだけ切断しないように周囲より剥離します。その段階で乳頭が突出すれば良いですが、どうしてもまだ突出しない場合はその原因になっている乳管を1−2本程度最小限切断します。その後皮膚を縫合し、装具で吊り上げ固定をして終了です。固定装具の除去は1週間から10日後、抜糸もそのくらいに行います。
術後放置すると再発する場合も多いので、当院では手術後3か月程度簡単な装具を装着して、再発を予防するようにしていただきます。
陥没乳頭が授乳に影響を及ぼす場合は保険適用が可能です。
手術後抜糸までの間4−5回ガーゼ交換に通っていたがきます。抜糸後簡単な装具をお渡ししますので装着してください。装具装着後2週間目、1ヶ月目、3ヶ月目に来院していただきます。
縫合を伴うため、傷は消えませんが、乳頭は皮膚に色が付いているため、通常の皮膚より傷は目立ちません。
手術前より授乳しやすくなりますが、元々乳管が詰まりやすい方もいるので、初産の方は絶対できるかどうかはわかりません。