足の爪が伸びるに伴い、丸みを帯びるように成長してしまい、皮膚に影響を及ぼす状態を総称して巻き爪といいます。原因は爪水虫や、窮屈な靴、外傷などがありますが、不明な場合も多いです。巻き爪は程度によって痛みのあるものとないものがあります。痛みが出るようになると、治療が必要です。ただ、痛みがなくても見た目が気になる方もいらっしゃいます。
陥入爪は。爪の側面の端が皮膚に食い込み、痛みを生じる症状をいいます。巻き爪を伴っている場合と伴っていない場合があります。生まれつき指の横幅に対して、爪の横幅が大きすぎて、爪が皮膚に食い込みやすい人もいます。爪は普通なのに深爪を繰り返すことで皮膚に炎症が起こり、つま先の皮膚が腫脹して爪が食い込む場合や、外傷で爪の生え方が不均一になり曲がって生えてきて皮膚に食い込む場合、ひょう疽と呼ばれる爪郭に細菌感染したものが治りきらないで肉芽となってしまう場合などがあります。
巻き爪や陥入爪はちょっとしたきっかけで老若男女問わず、発症します。誤った自己処置で悪化してしまうこともあるので、異常があればお近くの皮膚科形成外科を受診されることをお勧めします。
【ワイヤーによる矯正】
爪の先に小さな穴を開けて、超弾性ワイヤーを挿入し、ワイヤーの真っ直ぐになろうとする力を利用して巻いた爪を平坦化します。ほとんどの方はワイヤー挿入後すぐに痛みがなくなります。爪が伸びれば爪を切ってワイヤーを付け替えます。2ヶ月に1回ずつ通院していただきこの処置を行います。ある程度巻き爪が改善されると終了しますが、しばらくすると再発する方もいらっしゃいます。
【プレートによる矯正】
ワイヤーは爪の先に通すので、ある程度爪が伸びていないと施術できません。深爪をしていて、爪が伸びていない場合は爪の中央部に形状記憶合金のプレートを貼り付けて矯正することもできます。痛みが改善するので、爪を伸ばしていただき、その後ワイヤーに変更します。
【抜爪】
指の根元に局所麻酔をして、爪の食い込んでいる部分を抜爪します。爪を全部抜くわけではないので歩行は大丈夫です。1週間程度で傷は落ち着きますが、数ヶ月後に爪が伸びると再発する方が多いです。数日後に旅行が控えていて、早く痛みを取りたい方、手術後の処置通院ができない方、数ヶ月後に手術できるがそれまで応急処置がしたい方などに向いています
【根治手術】
指の根元に局所麻酔をして、爪の根元にある皮膚を一部切開します。皮下にある爪母細胞を部分的に切除して、食い込んでいる部分の爪を永久的に生えなくさせます。その後皮膚を元の位置に縫合して終了します。術後抜糸まで2週間。その間4−5回ガーゼ交換に通院していただきます。抜糸後患部の入浴が可能になり、運動は術後3週間で可能になります。この手術をすると完全に治る方が多いですが、爪の幅を狭くする手術なので爪の両側を手術すると見た目少し不自然になることがあります。
*(陥入爪は大部分手術できますが、ある種の巻き爪は手術できません。)
基本的に麻酔が効くので手術中に痛みは伴いませんが、麻酔が切れると少し痛いです。痛み止めを処方しますので、内服してください。
踵歩行で歩けますが、手術後包帯を巻きますので幅の広いスニーカーやスリッパ、サンダルを用意してください。車の運転はできません。
すぐには取れませんが1ヶ月前後で徐々に消失します。