脂漏性角化症は「老人性のいぼ」といわれるもので、個人差はありますが30代のころから出現し、加齢とともに増加する皮膚の良性腫瘍です。皮膚の老化現象の一つとして捉えられています。
脂漏性角化症は、典型的なものは境界がはっきりした黒灰色のいぼの様に見えます。 よく見れば表面は少しざらざらした感じで、 最初は平坦で老人性のしみやほくろなどと区別がつきにくいですが、 徐々に隆起してきます。、手のひらと足のうらを除く全身の皮膚のどこにでもできます。日光を受けやすい顔や頭に見られやすく、老人性のしみと併発することもよくあります。
黒灰色以外にも、淡褐色、黒色、茶色っぽく見えるものもあります。大きさは数ミリの小さいものからときには数センチ以上の大きいものまでさまざまです。
脂漏性角化症は、気になって触ったり衣服でこすられたりすると、炎症を起こしてかゆみや赤みをともなうことがあります。
悪性化することはありませんが、良性であっても腫瘍ですので、放置すると少しずつ大きくなります。脂漏性角化症は美容的な理由で治療を希望される方が多いので、なるべく小さいうちに治療を行う方が、治療後の跡もきれいになりやすいといえます。
ただし中にはまれに脂漏性角化症と認識していたら、実は皮膚がんであった、ということもありますので、まずは医師に相談してください。
脂漏性角化症は一般的な「いぼ」と異なりウィルスが原因ではなく、加齢や紫外線の影響などが原因と考えられています。
【炭酸ガスレーザー】
炭酸ガスレーザーを用いて蒸散させることで、脂漏性角化症を削りとります。治療後に皮膚の保護が1−2週間程必要にはなりますが、治療後の皮膚をなるべく綺麗に保つことができます。局所麻酔の注射をしてから治療を行うため、施術中の痛みはほとんどありません。
【液体窒素】
液体窒素を用いて脂漏性角化症を凍結させます。凍結と解凍をくりかえすことで、脂漏性角化症の組織を物理的に破砕します。治療後の1~2日は痛みを伴うことがあり、また少し水ぶくれができることがあります。満足いく結果が得られるには多くの場合、凍結療法を数回以上行う必要があります。また治療により表面上は脂漏性角化症が小さくなっても、その後再発することがあります。
このようなデメリットはありますが、液体窒素による凍結療法はほとんどの皮膚科外来で簡便に行え、麻酔や手術が必要なく、水ぶくれ等にならなければ治療後の処置もとくに必要がないため、高齢者の脂漏性角化症にはよく用いられます。
【切除する方法】
手術で病変部を切り取り、あとの傷を縫い合わせます。
傷跡は残りますが、切り取った組織で病理組織診断を行うことにより正確な診断をつけることができ、一般的には再発もしません。