顔と同じように手は日常生活で常に外気に触れ温度変化にさらされていますが、顔と違ってハンドクリームなどによる日常的なスキンケアや紫外線ケアはあまり行われていない方が多いようです。
皮膚は濡れて付着した水が乾燥するとき、皮膚の水分も奪われ一緒に蒸発するため、どんどん乾燥していきます。また石鹸や洗剤に使用により、皮膚を保護し水分の蒸発を防ぐ役割をする皮脂が取れてしまうことにより、さらに乾燥が進行します。
手の皮膚は顔の皮膚より厚くて丈夫ですが、そのかわり手洗いや洗顔・入浴、家事や仕事によって、頻回に水やお湯で洗われたり洗剤や食材・薬品などによる刺激を受けています。
このため手が乾燥し、カサカサになり、角質が厚くなった状態が「手あれ」です。手あれ進行し、厚くなった角質がひび割れ傷になると「あかぎれ」とも言われます。
手あれがさらに悪化し、赤みやかゆみをひき起したり、ときに水疱をともなうようになると「手湿疹」となります。
手湿疹の原因は乾燥だけでなく、洗剤や食品などによる直接の刺激やかぶれによっても起こります。手あれがひどくてもかゆみを感じず湿疹が見られない人もいますし、反対に乾燥があまり見られなくても手湿疹が起こる人もいます。
【薬物療法】
・保湿剤
手の乾燥を防いで皮膚のバリア機能を改善します。手の皮膚を保護してくれる役割をします。手あれが手湿疹に進行するのを予防し、バリア機能の破綻による刺激物質やアレルギー物質の体内への侵入を防いでくれます。
・ステロイド外用薬
赤みやかゆみ・水疱などの症状に対して使用されます。炎症を抑え湿疹・皮膚炎を改善します。
・抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬の内服
かゆみ・アレルギーを抑制します。就眠中など無意識に掻いてしまって湿疹を悪くしてしまう方も多く、内服することで掻く動作を減らして湿疹の悪化を防いだり、かゆみを抑えて日常生活を少しでも楽に過ごせるようにします。
【生活改善】
普段の生活の中で、手の皮膚を外的な刺激や乾燥からできるだけ守るようにしましょう。
とくに冬季には、温度変化による刺激にも注意が必要です。
例えば、手洗いはぬるま湯で行い冷たい水や熱いお湯は避ける、水仕事をする際は手袋を着用し、石鹸やシャンプーなどは刺激の弱いものに代える、手を濡れたままにせずすぐに清潔な乾いたタオルやハンカチでふく、ふいた後はハンドクリームなどで保湿をする、などを心がけるようにしてください。