ここでは主に脇の多汗症についてご説明します。脇の多汗症は正式には腋窩多汗症といいます。脇は汗腺が密集しているため、汗が非常に出やすい身体の一部です。脇は体温調節を行う場所でもあるので、特に汗をかきやすい箇所です。特別な原因がないのに脇にから大量の汗がでることも多くあり、重度の腋窩多汗症は保険診療で治療できます。
脇以外の多汗症には全身の多汗症、手のひらの多汗症、顔の多汗症、足裏の多汗症などがあります。多汗症は放っておくと、衣服が大量の汗を吸い取り、悪臭が生じたり、衣服の着心地が悪くなったり、衣服にシミや黄ばみができてしまい見栄えが悪くなってしまいます。
それぞれの多汗症は基本的には精神的なストレスが関与して症状が引き起こされると考えられていますが、もちろんそうでない場合もあります。自分がどのような時に異常に汗をかいてしまうのか意識して自覚し、自分で対策を立てていくことも大切です。
多汗症の原因には様々なものが考えられます。まず一番に挙げられるのは精神的要因です。発汗のメカニズムには交感神経が影響しているため、ストレスや緊張などにより交感神経が敏感になることで大量の発汗の原因となってしまいます。また、気温や湿度などの環境的要因により交感神経が敏感になることもあります。
次にホルモンの分泌の乱れが挙げられます。ホルモンバランスと交感神経の乱れは密接に関係しています。
また、遺伝的な体質も原因となっている可能性があります。生まれながらの汗腺の量は遺伝的要素が関係しながら決まっているため、人によって汗をかきやすい体質かどうかは決まっています。
多汗症には様々な原因が考えられますので、自分での原因の特定が難しいです。また原因がわかっても対処できる場合の方が少ないため、不安や改善をしたい思いがある方は医師に相談してください。
【ボトックス注射】
ボトックス注射は汗を出す信号を止めて、発汗を抑えます。1回の注射で4~9ヵ月効果が持続しますので、年1、2回程度の治療で汗を抑えることができます。侵襲が少ない治療となるため、まず最初にお勧めさせていただいている治療方法です。
両脇[保険料3割負担の場合] | ¥23,000程度 |
---|
通常4−9ヶ月効果が持続します。4ヶ月以上経過すると再び保険適用で注射可能です。
重度の多汗症と診断されれば保険が効きます。負担額の目安は、三割負担の場合4万1〜3千円です。
注射後すぐに帰宅できます。当日の入浴も可能ですが、当日の激しい運動は控えてください。妊娠可能な女性は注射後2回月経が過ぎるまでは避妊してください。男性は注射後3カ月避妊してください。