薬疹は、病院で処方された薬や市販されている薬などを服用した際に発症する発疹です。漢方薬などの生薬でも発症し、サプリメントや健康食品などでも起こることがあります。
薬を体内に摂取してから薬疹が現れるまでの期間には、短いものから長いものまでさまざまで、時には数週間〜数年以上かかる場合があります。一般的には初めて摂取する薬であれば薬疹の発症までに2週間前後かかる場合が多く、発症までに一定の期間が必要ですが、以前に摂取したことがある薬の場合は、摂取後すぐに薬疹が現れることがあります。
薬疹の現れ方には様々な種類があるため、他の皮膚病との区別が難しいことも多いです。そのため、薬疹の原因の特定や治療をするためには、過去にどのような薬を処方されていたかが重要になりますので、お薬手帳などを用いて自分の服薬履歴をきちんと記録し把握して、必要があれば家族や医療機関に開示できるようにしておくことが大切です。また過去に薬疹と診断されたり疑われたりしたことがあれば、その薬剤の種類や名前もお薬手帳などにご自分で記録しておくことも大切です。
薬疹の中で、口や目のまわりに症状が現れたり、発熱や水ぶくれが見られた場合は重症化のサインです。また薬疹には肝機能障害や腎機能障害、ときには肺炎などを合併することがあります。重症化すると後遺症が残ったり、時には命にかかわるケースがあります。薬を服用中に皮膚に異常を感じたり、薬疹の疑いがある場合はすぐにかかりつけ医や皮膚科に相談してください。その場合、お薬手帳や薬の服薬履歴がわかるものを持参するとスムーズです。
どんな薬でも薬疹の原因になり得ます。よく原因となる薬は抗菌薬、解熱剤、鎮痛剤などですが、市販薬やサプリメント、ビタミン剤、漢方薬などでも原因となります。
薬の持つ薬理作用が薬疹を起こす場合や、薬剤の成分に対するアレルギー反応によって起こる場合があります。また薬とウィルス感染が同時に存在することによって起こる薬疹もあります。アレルギー反応の場合は、薬に対して反応するような細胞や抗体をもっている方のみが薬疹を引き起こします。
【生活指導】
日常生活の中から原因となる薬を取り除く必要があります。薬によっては急に使用をやめると身体に害をもたらす場合がありますので、薬を中止したり変更する場合や減量する場合は、必ず医師と相談してください。
薬をやめても体内から薬の影響が消えるまでには時間がかかるので、服薬を中止してもしばらくは薬疹が消えずむしろ悪化する場合がありますが、 通常は薬の影響が弱くなるととともに薬疹もその後改善してきます。
【薬物療法】
・ステロイド(副腎皮質ホルモン)
症状にあわせて使用します。多くの場合は原因薬剤を中止し、ステロイドの外用剤を用いることで改善しますが、重症の薬疹の場合はステロイドの内服投与を行ったり、注射や点滴で使用される場合があります。
内服や点滴でステロイドの大量投与が必要な重症の薬疹の場合は、入院治療が必要になります。
・抗アレルギー薬
かゆみやアレルギーを抑えます。